ナガサキを“最後の被爆地”に 県外原爆展が全国を一巡(長崎市)

 被爆の実相や平和の尊さを伝えようと、長崎市は1994年度から他の自治体などと連携し、長崎原爆資料館所蔵の資料などを展示する「原爆展」を県外各地で開催してきました。
今年度に富山、鳥取両県で開催されたことで被爆地の広島、長崎の両県を除く45都道府県での開催を達成。全国を一巡しました。

 被爆50年の節目を前にした1994年夏、佐賀市や高知市などで始まったのが同原爆展。被爆翌日に爆心地付近で撮影された「黒焦げの少年」などの写真パネルのほか、熱線で変形したガラス瓶、被爆者の遺品などが展示されてきました。

 今年度は7月に富山県高岡市、鳥取県の鳥取、倉吉両市の計3都市で開催。若い世代の関心を高めようと、被爆遺構の案内などに取り組む青少年ピースボランティアの活動や核兵器禁止条約発効までの経緯を紹介するパネルなども追加。市被爆継承課は「これまで70都市以上で開催し、来場者は延べ26万人を超えた」と。

 公明党長崎県本部は“長崎を最後の被爆地に”との思いから、2015年に「核兵器廃絶長崎アプローチ構想推進委員会」(委員長=久八寸志・長崎市議)を設置し、県外原爆展の開催などを力強く推進。加えて15年以降、党市議団が毎年の議会質問で同展について取り上げ、未開催県ゼロ達成を訴えるとともに、他の自治体の公明議員とも取り組みを共有し、開催を後押ししてきました。さらに若い世代を対象とした展示やコロナ禍を踏まえたオンラインの活用なども提案しています。

 「被爆者の高齢化や死去により直接、被爆体験が聞ける機会が減る中で、次世代への継承が課題」と久委員長。「未開催県ゼロ達成を契機に、核廃絶や平和発信への取り組みをさらに広げたい。国内外における継続的な展示の開催を今後も後押ししていく」と抱負を語っています。

(2021/8/9公明新聞より)

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