災害時、ペット同伴で避難へ 市と動物専門学校が協定(熊本市)
災害発生時にペットと一緒に避難できるよう、熊本市が5月に「九州動物学院」(同市中央区)と締結した協定は、同学院の施設をペット同伴避難所として使用できるようにする内容で、全国でも珍しい試みです。
この取り組みを推進してきた公明党市議団(井本正広団長)の浜田大介、三森至加の両議員はこのほど、同学院を訪れ、関係者と意見交換を行いました。
熊本市と九州動物学院の協定では、災害時に1日当たり最大で被災者100人、犬や猫などのペット300匹程度を受け入れるほか、熊本市の支援物資が届けられ、同学院の学生や職員も避難所の運営に携わります。また、同学院が入るビルには動物病院も併設されているため、体調不良だったり、けがをしたりしたペットの治療に即対応できるメリットがあります。
同学院の徳田竜之介学院長は、「ペットは家族であり、一緒にいることで飼い主の心の支えになる。協定締結を機に、ペット同伴避難所を開設する動きが全国に広がっていけば」と期待を寄せています。
市は今後、同学院以外にもペット同伴避難所を各区に1カ所ずつ整備する方針を明示。小中学校など一般の避難所にペット同伴者専用の避難スペースを確保できるよう、関係部署と協議を進めています。市危機管理防災総室の村上孝之審議員は、「ペットをケージに入れて避難してもらうなどのマナーの徹底に向け、情報発信にも取り組んでいく」と語ります。
九州動物学院は、動物の看護や飼育管理、トリミングなどを学ぶ専門学校。2016年の熊本地震では、自主的に学院内の一部をペット同伴避難所として開放し、延べ約1500人の被災者や約1000匹の犬、猫といったペットを受け入れました。当時は、ペットを連れた被災者が周囲への遠慮から避難所での生活を避け、車中泊や損壊した自宅にとどまるケースが県内で相次いでいました。
一方、熊本市は昨年9月に台風10号が接近した際、同市南区にある総合屋内プール「アクアドームくまもと」をペット同伴可の避難所として開設。飼い主からは喜ばれたものの、一般の避難者からペットの鳴き声や臭いなどへの苦情が寄せられました。このため、市は今後の対応に備え、ペット避難の受け入れ実績のある同学院と協議を重ねていました。
災害時におけるペット同伴避難については、浜田議員が昨年12月の定例議会で、「ペットと一緒にいられる避難所を市内に数カ所設置してはどうか」と提案。大西一史市長から「動物の専門家や関係団体と連携し、避難所でペットを預かる仕組みづくりなどについて検討を行う」との答弁を引き出すなど、精力的に後押ししてきました。
(2021/9/20公明新聞より)