性的少数者のカップル、その子どもも家族 九州初のファミリーシップ宣誓制度 (福岡県・古賀市)
福岡県古賀市は、性的少数者(LGBTQ)や事実婚のカップルと、その子どもを家族として認める「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を7月から導入し、現在、地域で当事者への理解が促進されるよう環境づくりに努めています。パートナーシップ宣誓制度に加え、ファミリーシップ宣誓制度を実施している自治体は少なく、市によると全国4例目で、九州では初めて。
古賀市は昨年4月に前身のパートナーシップ宣誓制度を開始。以来、性的少数者同士のカップルや事実婚カップルを公認し、宣誓書受領証と受領カードを発行してきました。その上で今回、ファミリーシップ宣誓制度を追加。対象者が、子どもを含む家族の関係を申請することで、家族として認められるようになりました。
パートナーの条件は、どちらも成人で、配偶者がおらず、いずれかが市民、もしくは市に転入予定であることなど。子どもについては、未成年で、パートナーの一方、あるいは双方の子どもであり、生計が同一であることが条件。
同制度には、婚姻と違って法的な効力はありませんが、パートナーや家族であることを市が証明することにより、市営住宅の入居申し込み、母子手帳や救急搬送証明書の交付、同居するパートナーの子が保育所に入所する際の保護者申請などが可能になりました。
同制度が始まった7月1日には、第1号として、5人の子どもを持つ30代の同姓カップルが市役所を訪れました。今年3月にパートナーシップの宣誓を行っていたこのカップルは、新たにファミリーシップの申請を行い、家族全員の名前が記された宣誓書受領証を受け取りました。市人権センターの担当者によると、受領証を手にしたカップルは、「これからは書類に“家族”と書ける」と喜んでいたそうです。
市は現在、当事者が家族として暮らす上での困り事を解消するため、医療機関や不動産会社などへの働き掛けを行っています。
田辺一城市長は「制度の導入をきっかけに、性的少数者などに対する理解の輪を広げていきたい」と語っていました。
公明党の平木尚子市議は、性的少数者に関する市民相談をきっかけに、2019年から当事者が集まる交流会に参加。その後、同9月の定例議会でパートナーシップ宣誓制度の導入を訴えるなど、性的少数者が暮らしやすい社会の実現を後押ししてきました。
(2021/9/17公明新聞より)