「しま留学」で生きる力を育む 不登校解消など心のケアにも効果(長崎県・五島市)

 長崎県の五島列島の福江島(五島市)にある県立五島南高校(立木英邦校長)では、島外から生徒を受け入れる離島留学事業「しま留学」を実施しています。中学時代に不登校の経験があった生徒も、生き生きと高校生活を送れており、成果が表れています。

■農漁業体験、少人数学習も

 同校では2018年度から、島での学校生活を希望する生徒を対象に「しま留学」を実施していて、農漁業の体験活動や伝統行事への参加などを取り入れたカリキュラムを展開し、少人数による学び直しなどで学習面をサポート。自己肯定感やコミュニケーション能力、社会性といった“生きる力”を育める教育環境に力を注いでいます。

 現在、しま留学の生徒は全校生徒(81人)の約3割に当たる22人。これまで九州のほか、関西、関東の各方面からも入学者を受け入れてきました。中学時代に学校になじめず不登校を経験した生徒も少なくありませんが、同校に入学後、毎日登校できるようになり「前向きな自分に変われた」と話す生徒や、親元を離れて「勉強や家事ができるようになった」「将来の夢を見つけられた」と語る生徒もいました。

■島内就職増加を期待

 立木校長は「しま留学」の成果として、島内企業に就職した卒業生がいるほか、島での就職希望者も増えていると強調。「自然豊かで島民との温かい交流がある環境も、生徒の内面に良い影響を与えている」と語り、また、同校への入学者数が減少傾向にある中、事業が生徒数の確保・維持にもつながっているといいます。

■公明、県・市で連携し通学用のバス導入

 しま留学の生徒は原則、島内の一般家庭などにホームステイします。路線バスを使い、約40分かけて通学する生徒もいますが、生徒やホームステイ先の里親から「登校の負担がより軽くなる手立てはないか」といった声が上がっていました。

 実情を知った公明党の相良尚彦市議は21年6月、麻生隆県議と連携し、県教育委員会などに対応を要請。その結果、同年7月にホームステイ先を回る通学バス(ジャンボタクシー)が導入され、生徒や関係者から喜びの声が寄せられています。

 離島留学について公明党は、これまで離島振興や不登校支援などの観点から、国や県、市で連携し、受け入れ体制拡充などを一貫して推進。麻生県議、相良市議は「子どもたちの“生きる力”を育む教育環境の充実へ、今後も一層力を尽くす」と語っていました。

(2022/1/14公明新聞より)

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